東日本大震災のような特大級のニュースが発生すると、新聞紙面やテレビは、そのニュース一色になります。災害や事件、事故の詳しい内容や、被害者の様子、発生の原因など、報道するべき要素もたくさんあります。
そんなときでも、新聞の情報量は最大40ページと決まっています。これは輪転機の印刷能力などのためです。「号外」や「別刷り新聞」などは通常の新聞とは別に発行できますが、ページ数は少ないです。いわば「ニュースを入れる器」の大きさは、いつもほぼ一定で、ここに入りきらないニュースは、読者に伝えることはできません。
特大ニュースが発生したとき、他のニュースは目立たない扱いになってしまいます。これはある意味で新聞の宿命です。「ニュースの判断は相対的」なのです。逆に、大きなニュースがないときも新聞は発行されますから、その日の1面トップ記事は「これがきょうのトップ記事?」と、みなさんが思ってしまうような場合もあるはずです。
新聞の作り手であり、ニュースの発信者である私たちも「きょうの1面トップは、ちょっと弱いなあ」などと議論しながら新聞作りを進めることがあります。そんな日には、相対的にいちばん大きなニュースが1面トップ記事になっています。
テレビのニュースの場合、特大ニュースが発生したときは、ニュース番組を延長するなどしてニュースを収容します。ここでも、他のニュースは、相対的に小さな扱いになってしまいます。
こんな「悪いニュースを目立たせたくない」ような場合、こんなメディア戦略もあるのです。
例えば、サッカーW杯の日本戦が行われる日は、多くの人の関心が集まるし、ほとんどのメディアは日本戦を大きく扱うでしょうから、他のニュースは目立たなくなります。