新聞読み方講座
第3回見出し「7変化」

記事の内容を、短い文字数でズバリと伝えるのが見出しです。新聞や雑誌で、おもしろそうな見出しがついていると、その記事を読んでみたくなります。逆に、見出しが読者にアピールできなかったら、記事は素通りされてしまいます。

 見出しも、記事と同様に「5W1H」が大切です。ただ、限られた字数の見出しの中にすべての要素を入れることはできません。「いつ、どこで、だれが、なぜ、なにを、どのように」のうち、最も重要な要素を見出しにとるのが基本です。どの部分が最も重要なのかを判断するのは、とても難しい作業です。

次の例文を読んで、見出しを考えてみましょう。
高知県警の警察官(58)が、30年間にわたり、土地の売買をめぐって友人をだまし5億円を受け取っていたとして、詐欺容疑で逮捕された。調べでは、警察官は多額の借金を抱え、その返済に充てていたらしい。県警では、先日も収賄事件があったばかりだった――。

 記事のポイントは何か? どこに焦点をあてるか?で、同じ記事につく見出しでもずいぶん違ってきます。
(実際の見出しにはメインの見出しを補うサブ見出しがつきますが、ここではメイン見出しだけを比べます)

高知総局 外園

県警で不祥事が続いていた場合、②の「高知県警またも」適切な見出しだと思います。「警察官」の犯罪、というのが大きなポイントなので、③「警官が詐欺容疑」もありです。金額の5億円に焦点をあてるのなら⑦「5億円詐取容疑」ですが、この見出しにすると、「警察官の犯罪」という面が出なくなり、悩ましいところです。
「友を30年だます」というのは、新聞の見出しとしては、あまり適当ではないけれど、これを選んだ人の「友情を大切にする」性格がよく表れています。もし僕の部下がこの見出しをつけてきたら、即刻ボツにしますが、「いい奴だなあ」と、一緒にお酒が飲みたくなりますね。

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