新聞読み方講座
第5回新聞は3回作り直す

その日、日本と世界で起きたニュースの中で、新聞社の編集局が最も重要だと判断したものを新聞の「1面」に載せています。内外の約2000人の記者が書いてきたニュースの中から、どれを1面に入れるのか、編集局では議論に議論を重ねます。そして、新聞は1日に3回作り直しているのです。

まず、取材現場では記者は「このニュースの価値はなんだろう」と考えながら記事を書きます。その後、その原稿をチェックするデスクと、記事について何度も話し合いながら原稿が完成します。
 次に、この原稿を編集して新聞のかたちにしていくのが編集局・編集センターの役目です。ここに所属する編集記者(編集者)たちは、1面や政治面、経済面、社会面、スポーツ面などの各面を担当します。続々と届く原稿の重要性を判断し、見出しをつけ、レイアウトをしてページを作り上げます。読者の立場でその原稿を読み直し、編集デスクと議論しながらニュース価値の判断をします。そんなページが最大40ページ集まり、その日の新聞が出来上がります。現場から編集部門まで、悩み議論しながら、新聞は作られているのです。

朝刊「早版(はやばん)」
朝刊「早版(はやばん)」
この紙面から、議論を続け原稿、見出しの修正を行います。
朝刊「最終版」
朝刊「最終版」
高知総局 外園

朝刊作りの場合を見てみましょう。まず午後3時ごろから、その日の当番編集長を中心に、原稿の予定連絡をもとに紙面イメージを考えます。 午後6時すぎ、出揃ってきた原稿を読みながら、どの記事をどの面に入れるかという紙面構成を、社会部や政治部、経済部、生活文化部、科学医療部、スポーツ部などの当番デスクが議論します。そして会議で決めた紙面構成に従って、1面から政治面、経済面、社会面、生活面、スポーツ面などに記事が振り分けられ、新聞紙面が作られていきます。
 午後10時半ごろに、「早版(はやばん)」と呼ばれる最初の新聞が完成します。息つく間もなく、デスクたちは、刷り上がった紙面コピーを手に、もう一度議論します。「きょうの新聞は、この構成でいいのか」「この記事は1面に載せたほうが良いのではないか」。編集長のもと、紙面構成を再度確認します。新たに重要なニュースが発生すれば、記事を差し替えます。
 原稿や見出しの修正などがあり、午前0時ごろ、紙面は2度目の完成となります。そして、さらに修正をして「最終版」は午前1時すぎに完成します。「よりよい記事にしよう」 「よりよい見出しにしよう」と、締め切り時間ギリギリまで議論を続けます。記者もデスクも編集者も「最後まで、あきらめない」気持ちを持って、連日の仕事に取り組んでいます。

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